成長期⑤ ~ベッチャーの胃ぶくろ~

べっちゃー祭りと言えば尾道で200年続く奇祭。

そもそも「ベッチャーの胃ぶくろ」と言う店名が相当変わっている。

毎回店名を決めるにあたり色んなパターンがあったが、この店だけは広告代理店の方の提案を受け入れた。

 

…が、自身小さい頃から慣れ親しんでいたべっちゃー祭りという名を「我が店名」に付けると言うのは流石に気が引けた。

 

それでも提案されたこの店名がどうも夜中頭から離れず、後日べっちゃー関係者の方に話を聞くことにしたのだ。

 

初めての打ち合わせはグリーンヒルホテルのロビー。

べっちゃー太鼓を復活させた今は亡き「吉原さん」と、今でも親交の深い「鍛治川さん」の御二方と初見で話すことに…。

なんと!吉原さんが僕の死んだ親父と親友だったということをその場で教えてれてね。

 

「こうやってべっちゃーのことで一緒にやるのも何かの縁じゃろう…どんどん使うてくれよ」

 

などと言われて何だか泣きそうになった事は一生忘れまい。

 

ベッチャーの3階にはぶっとい梁がかかっている。

そもそもこの梁に惚れてオープンを決めたってのが動機かな?

なんせ築150年近い建物。

「とにかくコレを生かした店にしたい! 」

尾道の海の幸を皆様に提供する今まで尾道になかったお店作りを意識した。

結果、厨房から3階まで吹き抜けの本当にかっこいい店が出来た。

3階建てだというのに、ポスシステムも導入してなかった→(全店舗だが💦)

「不便がお客様にとっての喜びだ!」

とか、「普通じゃ面白くない!」とかの理由で、インカム不採用、お客様の料理オーダーは、用紙をクリップに挟んで2階から厨房まで配管を伝わせて落としてたんだから怖ろしい。

けれど振り返ってみるとお店も13年。オープニングスタッフで同級生の藤原料理長も未だ健在で結婚も最近して。

今でこそ穴子をウリにしたいい店となったけど、当時はお店が回らずあかぼしからテラピーや、伊達ちゃんにもチカラを借りたな。中々落ち着くまでに時間がかかったお店でもあった。

 

最後に、オープン時珍しくレセプションをした小話。

料理の提供が1時間以上かかってずいぶん叱られレセプション終わりに、専務ケンゴに

「こうなったのも全部ケンゴのせいじゃ!」などと悪態をついたのも甘酸っぱい青春の恥ずかしい味だ💦